2025/05/22 08:00
それほどデニムに詳しくなくても、「セルビッヂ」「赤耳」という言葉をなんとなく聞いたことはありませんか?
旧式の織機を使用して織られた、端にほつれ止めがされているデニム生地のことを「セルビッヂ」と言い、ほつれ止め部分に赤い糸が入っていると「赤耳」なんて呼ばれます。
明治時代から続く老舗メーカー
寄付道デニムに使われている生地も、セルビッヂ。生産しているのは、広島県福山市に本社工場を構えるカイハラ産業です。
創業は1893年。備後絣(かすり)をルーツとし、130年以上の歴史を持つ老舗企業。日本国内のみならず、世界の名だたるブランドから指名を受ける、トップクラスのデニム生地メーカーです。
みなさまにお届けするデニムがどのように作られているのかこの目で確かめたい寄付道チーム(47回)、福山まで工場見学に行ってきまた!
※本記事は、2024年に掲載のブログ(高47回寄付道プロジェクト)を一部改変して転載しています。
福山市の本社工場へ
JR福山駅から車で1時間、まわりを田んぼに囲まれた山の中にカイハラの工場はあります。

▲JR福山駅。目の前に福山城が!

▲明治26年、1893年創業のカイハラ
約600本のロープ状の糸をインディゴ液に漬ける
さっそく、糸の染色工程から。デニム生地に使用される糸ならではの染め方を、「ロープ染め」と言います。
その名の通り、約600本の糸を束ねてロープ状にしてからインディゴ液に漬けていく技法。この染色技術は、カイハラが日本で初めて開発したのだそうです。

▲ロープ状に束ねられた糸
工場長いわく「秘伝のたれ」だというインディゴ液は、20年以上同じものを使ってるんですって!
お掃除のときは慎重に別の場所に移してまた戻すそうです。表面にできる泡の具合などにこだわりがあって、そこが秘伝たるゆえんだとのこと。

▲カイハラの“秘伝のたれ”ことインディゴ液
インディゴ液は青くない⁉
そしてインディゴ液は、なんと青くないのです!
実はもともとの色は黄色で、それが空気に触れて酸化することで青く発色するのだそう。

▲しだいに青く染まっていきます
ロープ状に束ねられた白い糸が、インディゴ液の槽を通って黄色に染まり、だんだんと黄緑から薄い青色になっていくグラデーションが、ああ美しい……。
ちなみに色の濃淡は、インディゴ液に漬ける回数でコントロールしています。
デニムを履きこむと色落ちして味わい深い風合いになっていくのは、このロープ染めによって糸の周りだけが青く染まり、中心が白く残っているから。ほらね、と工場長が見せてくれた糸の断面。中心がうっすら白いのがわかります。なるほど。

▲糸の中心に白い部分が残っています
インディゴ染めのタテ糸と白いヨコ糸で生地を織り上げる
緯糸(ヨコ糸)が入った木のケースを「シャトル」といい、「杼(ひ)」ともよばれます。織機に張られた経糸(タテ糸)の間を、緯糸を巻き付けたこのシャトルが往復することで、一枚の布が織り上げられていきます。シャトルが往復する、そのターンの部分がセルビッヂ。これこそが、シャトル織機で織られた生地である証なのです。

▲糸(ヨコ糸)が入った「シャトル」

▲貴重な旧式シャトル織機
この旧式シャトル織機、コンピュータ制御された現代の織機よりもはるかに時間がかかり、職人さんの手作業も必要で、とっても非効率。ただその分、ゆっくりと時間をかけて丁寧に織られることで、糸が空気を含み、生地の表面にふっくらとした凸凹ができ、密度が高く耐久性の高い生地に仕上がります。そして、履きこむほどに身体になじみ、独特の風合いになっていきます。
そのため、今でもデニムを愛するお客様からのオーダーは途切れず、たとえ非効率であってもこの生産方法を大切に守っているのだそう。織りあがった生地を手に、「良い表情をしてるでしょう。今どきの機械だとつるっとしたきれいな顔になっちゃって、つまんないんですよ」と工場長。デニム愛を感じます。
(企業秘密のため、残念ながら全景の撮影はNGでした。昔話「鶴の恩返し」に出てきそうな、いわゆる「機織り機」が一面に並んで、一斉にデニム生地を織っている様子をご想像ください。まさに圧巻、そしてものすごい音。立ち入りには耳栓着用が義務付けられていました)
赤耳がついた生地が完成
職人さんが検査を行い、出荷前の最終確認工程に向かう生地。赤耳、しっかりついてますね。

▲デニム生地が完成!

▲ほつれ止めの赤糸がついているのがわかります
こうして手間ひまかけてつくられた「セルビッヂ」が、寄付道デニムには使われています。寄付道チームが自信をもっておすすめできる、こだわりの逸品です。
ちなみにこの日工場を案内してくださった工場長の伊達さんと営業の灰原さんは、なんと地元の同じ高校の同級生(部活も同じサッカー部)だそう。こんなところにも、高校同窓会のプロジェクトである寄付道とのご縁を感じます。
寄付道デニム ブルー 20,000円
【サイズ】W28 / 30 / 32 / 34 / 36
※ご注文をいただいてからお作りする「受注生産商品」です。お届けまでにお時間をいただきます。
※商品ページの内容をよくご確認、ご了承のうえご注文ください。同窓会会場でのご試着・ご注文も可能です。
※販売価格には、筑紫丘高校創立100周年記念事業への寄付金が含まれます。